PoC本番化チェックリスト(20項目)
対象: ペルソナB
PoC本番化チェックリスト(20項目)
配布形式: PDF(A4 4〜6ページ)、Markdown版
対象: AI/IT事業者、DX部門、開発リーダー、技術者
所要時間: 評価30〜60分
はじめに
業界調査(Gartner 2024-07、2025年末更新)によれば、生成AI PoCの30〜50%が本番運用に進まずに放棄されています。原因の多くは技術ではなく、本番運用に必要なWeb/クラウドエンジニアリングの要素が抜けていることです。
本チェックリストは、PoCを本番に乗せる際に確認すべき20項目を、4カテゴリで整理したものです。
使い方
- 設計段階: PoC開始時にこのリストを参照
- 本番化フェーズ: PoCを本番化する直前に対応状況を確認
- 運用フェーズ: 本番リリース後、3ヶ月ごとに再点検
各項目について、対応状況を ✓(対応済)/△(部分対応)/✗(未対応)/ー(不要) で記入してください。
カテゴリ1: インフラ(5項目)
☐ 1-1: IaC(Infrastructure as Code)化
確認内容
- Terraform、Pulumi、CDK等で本番環境がコード化されている
- 開発・ステージング・本番環境が同じコードベースで管理されている
- 設定変更はPull Requestでレビュー可能
- 重要リソース(DB、Secrets)に削除防止設定がある
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 1-2: CI/CD パイプライン
確認内容
- mainブランチへのマージで自動テスト・自動デプロイ
- 本番デプロイには手動承認ステップがある
- LLM呼び出しはモック化され、CIコストが抑えられている
- ロールバック手順が整備されている
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 1-3: マルチAZ構成
確認内容
- アプリケーションサーバーが複数AZに分散配置されている
- DBがMulti-AZ構成またはレプリカ構成
- ロードバランサーがマルチAZでヘルスチェック設定済み
- 単一AZ障害でサービス停止しない構成になっている
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 1-4: バックアップとリストア
確認内容
- DBのポイントインタイムリカバリ設定済み
- 重要データのクロスリージョンバックアップあり
- リストア手順書がある
- 年1回のリストアリハーサルを実施している
- RPO/RTOが定義されている
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 1-5: コスト監視と予算アラート
確認内容
- AWS Budgets / GCP Budgets等で月次予算を設定
- 50%、80%、100%の段階でアラート設定
- LLM API利用料を別途追跡
- ユーザー単位・機能単位のコスト集計が可能
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
カテゴリ2: セキュリティ(5項目)
☐ 2-1: 認証
確認内容
- 既存認証基盤(Microsoft Entra ID、Okta等)と連携、または信頼できる認証SaaS(Cognito、Auth0等)を利用
- パスワードハッシュ実装は信頼できるライブラリ
- JWTトークンのexpiration設定がある
- リフレッシュトークンが実装されている
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 2-2: 認可(RBAC)
確認内容
- 役割(Role)と権限(Permission)の対応が定義済み
- API層で必ず権限チェックされている
- テナント分離(マルチテナント環境の場合)が実装されている
- 権限変更が監査ログに残る
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 2-3: データ暗号化
確認内容
- 通信がHTTPS必須(HTTP→HTTPSリダイレクト)
- DBが暗号化されている(AES-256等)
- S3バケット等のオブジェクトストレージが暗号化
- 機密データはLLM送信前にマスキング検討済み
- Secret管理ツール(AWS Secrets Manager等)を利用
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 2-4: 入力検証とプロンプトインジェクション対策
確認内容
- 入力長の制限(max_tokens)がある
- プロンプトインジェクションの既知パターン検知がある
- LLMにシステムプロンプトを「無視させない」設計
- 出力にPII(個人情報)が含まれていないか検証
- Bedrock Guardrails / OpenAI Moderation等を利用
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 2-5: 監査ログ
確認内容
- 「誰が」「いつ」「何を」したかすべて記録されている
- 改ざん不可能なストレージに保管されている
- 保管期間が定義されている(業界規制準拠)
- 検索・分析が可能な形式で保存されている
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
カテゴリ3: 観測可能性(4項目)
☐ 3-1: アプリケーションログ
確認内容
- 構造化ログ(JSON形式)で出力されている
- ログレベル(DEBUG/INFO/WARN/ERROR)が使い分けられている
- 機密情報がログに残っていない
- ログ集約ツール(CloudWatch Logs、Datadog Logs等)に集約されている
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 3-2: APM(Application Performance Monitoring)
確認内容
- リクエスト単位のトレース(OpenTelemetry等)
- DB、外部API、LLM呼び出しのレイテンシ分析が可能
- エラーレートのアラート設定
- パフォーマンス劣化を早期検知できる
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 3-3: LLMトレース
確認内容
- 各LLM呼び出しのプロンプト・レスポンスが記録されている
- ユーザー・セッション単位でグルーピング可能
- トークン消費量・コストが可視化されている
- フィードバック(👍/👎)と紐付け可能
- Langfuse、LangSmith、Helicone等のツール利用
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 3-4: エラートラッキングとアラート
確認内容
- エラー発生時の自動Slack通知
- エラーレート閾値でアラート(例: 1分間に10件以上)
- オンコール担当者へのページング(PagerDuty等)
- Sentry等のエラートラッキングツール利用
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
カテゴリ4: 運用(6項目)
☐ 4-1: SLA定義
確認内容
- 可用性目標が定義されている(例: 99.5%)
- レスポンスタイム目標が定義されている(例: P95で5秒以内)
- LLM呼び出しエラー率目標が定義されている
- 精度目標が定義されている(評価データセットで80%以上等)
- 月次レポートでSLA達成状況を共有
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 4-2: ランブック(運用手順書)
確認内容
- 想定される障害パターンごとの対応手順が文書化
- 連絡先・エスカレーション基準が明記
- LLMプロバイダー障害時のフォールバック手順あり
- 新メンバーが見ても対応可能な詳細度
- 定期更新の運用ルールあり
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 4-3: 障害対応フロー
確認内容
- インシデント宣言の基準(SEV1/2/3)が定義
- 各SEVの対応SLAが明記
- 顧客コミュニケーションのテンプレートあり
- ポストモーテムの実施ルールあり
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 4-4: リリース手順とロールバック
確認内容
- カナリアリリース(段階的展開)の仕組みあり
- Blue/Greenデプロイメント等の安全な切り替え手段
- ワンクリックロールバック手順あり
- DB変更を伴う変更のロールバック計画
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 4-5: 精度モニタリング
確認内容
- 評価データセットが整備されている(最低50ケース)
- 自動評価が定期実行される(週次・月次)
- ユーザーフィードバック(👍/👎)が収集されている
- 精度低下を検知してアラートが出る
- フィードバックを元にプロンプト改善する運用あり
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
☐ 4-6: 改善サイクル
確認内容
- 月次レビュー会議が設定されている
- フィードバックの分類・優先順位付けプロセスあり
- プロンプト・モデル・UIの継続改善が実行されている
- 改善内容のドキュメント化と社内共有あり
評価: ✓ / △ / ✗ / ー
メモ: ________________________
集計シート
各カテゴリの対応状況を集計します。
| カテゴリ | ✓ | △ | ✗ | ー | 対応率 |
|---|---|---|---|---|---|
| インフラ(5項目) | _ | _ | _ | _ | _% |
| セキュリティ(5項目) | _ | _ | _ | _ | _% |
| 観測可能性(4項目) | _ | _ | _ | _ | _% |
| 運用(6項目) | _ | _ | _ | _ | _% |
| 合計(20項目) | _ | _ | _ | _ | _% |
評価基準
- 対応率80%以上: 本番運用に十分耐えうる状態
- 対応率60〜79%: 一部リスクあり、優先度の高い未対応項目から着手
- 対応率40〜59%: 本番運用には早すぎる、まず未対応項目の対応計画を立てる
- 対応率40%未満: 本番運用は時期尚早、まず本番化プロジェクトとして取り組むべき
優先順位の判断
未対応の項目が多い場合、次の優先順位で着手します。
フェーズ1: 本番リリース前必須(最優先)
- 1-1: IaC化
- 1-2: CI/CD
- 1-5: コスト監視
- 2-1: 認証
- 2-2: 認可
- 2-3: データ暗号化
- 2-5: 監査ログ
- 3-1: アプリケーションログ
- 3-4: エラートラッキング
- 4-1: SLA定義
フェーズ2: リリース後1〜2ヶ月以内
- 1-3: マルチAZ
- 1-4: バックアップ
- 2-4: プロンプトインジェクション対策
- 3-2: APM
- 3-3: LLMトレース
- 4-2: ランブック
フェーズ3: 運用安定後
- 4-3: 障害対応フロー
- 4-4: リリース手順とロールバック
- 4-5: 精度モニタリング
- 4-6: 改善サイクル
最後に:TechTekではPoC本番運用化を専門に対応しています
このチェックリストで未対応項目が多い場合、内製での対応が難しい項目がある場合、お気軽にご相談ください。
- 既存PoCのギャップ分析から対応します
- フェーズ別の段階リリースに伴走します
- NDA締結も柔軟に対応します
- 全国対応・オンライン中心
[技術相談する] → https://techtek.co.jp/contact
関連リソース
- 記事: 生成AI PoCが本番に進まない7つの構造的原因と解決アプローチ
- 記事: AI PoC本番化チェックリスト全20項目【実装者向け】
- 資料: AI実装パターン集(RAG/エージェント/評価基盤)(M3公開予定)
発行元: TechTek合同会社
バージョン: v1.0
最終更新: 2026-05
お問い合わせ: https://techtek.co.jp/contact
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